問題
国又は地方公共団体の水質汚濁防止対策に関する記述として,誤っているものはどれか。
⑴ 公共用水域の水質汚濁に係る環境基準には,人の健康の保護に関する環境基
準と生活環境の保全に関する環境基準がある。
⑵ 水質汚濁防止法(以下「水濁法」という。)により特定事業場から公共用水域に
排出される水については,全国一律の排水基準が設定され,約半数の都道府県
において上乗せ排水基準が設定されている。
⑶ 湖沼の水質保全のため,水濁法に基づき,COD,窒素含有量及びりん含有
量などに係る排水規制が実施されている。
⑷ 公共用水域の環境基準を達成し維持するため,水濁法等による排水規制,下
水道の整備,生活排水対策などの施策が講じられている。
⑸ 生活排水を処理するための施設として,下水道のほかに,浄化槽,農業集落
排水施設,コミュニティ・プラント等の汚水処理施設の整備が進められている。
正解
(2)
解説
(1)
記載の通り、公共用水域の水質汚濁に係る環境基準には以下があります。
よって正しい。
- 人の健康の保護に関する環境基準(いかなるときでも測定)
- カドミウム、シアンなど28項目
- 生活環境の保全に関する環境基準(通常時測定)
- 河川:pH、BOD、SS、DO、大腸菌群数、全亜鉛、ノニルフェノール、LAS
- 湖沼:pH、COD、SS、DO、大腸菌群数、全亜鉛、ノニルフェノール、LAS、全N、全P、低層DO
- 海域:pH、COD、SS、DO、大腸菌群数、全亜鉛、ノニルフェノール、LAS、全N、全P、低層DO、N-ヘキサン抽出物
(2)
水質汚濁防止法(以下「水濁法」という。)により特定事業場から公共用水域に排出される水については,全国一律の排水基準が設定され,全ての都道府県において上乗せ排水基準が設定されています。
これが誤り。
(3)
(1)の解説に記載の通り、湖沼の水質保全のため,水濁法に基づき,COD,窒素含有量及びりん含有
量などに係る排水規制が実施されており、海域も同じ。河川はBODで、N・Pは規制されていません。
(4)
公共用水域の環境基準を達成し維持するため,水濁法等による排水規制,下水道の整備,生活排水対策などの施策が講じられています。
なお特に下水道の普及率upにより、全体として公共用水域の環境基準(BOD又はCOD)の達成率は改善傾向となっています。
(5)
生活排水を処理するための施設として,下水道のほかに,浄化槽,農業集落排水施設,コミュニティ・プラント等の汚水処理施設の整備が進められています。正しい。
2015年(平成27)年度末における全国の汚水処理施設の処理人口は約1億1,500万人で、総人口に対する割合は89.9%でした。